気持ちがもやもやと晴れない、特に原因があるわけでもないのに不安感が拭えない……
こうした精神不安を抱えている人は、ストレスの多い現代社会においてたくさんいることでしょう。
重症になると、「不安障害」や「うつ病」と診断され、精神科での西洋医学的治療が必要になるケースもあります。
しかし、状態によっては漢方の服用で精神的な不安をやわらげることも可能。このページでは、精神不安の際に有効な漢方薬をご紹介します。
精神不安など状態は「気」の異常「肝」「心」の失調
漢方医学において、不安や抑うつといった心の状態をもたらす原因は、「気血水(きけつすい)」のうちの「気」の異常と捉えます。また、「五臓」の「肝」「心」の失調と捉えることも。
処方・服用する漢方薬を選ぶ際は、こうした「気」「肝」「心」への作用を持つものを選びます。また、ほかの症状や体力の程度によっても、適した漢方薬は異なるため、総合的に判断することが大切です。
精神不安のひとつ「不安神経症」は肉体的な症状も
精神不安のひとつである「不安神経症」は、日常生活に影響が及ぶほどの不安が長期にわたり続く状態を指します。
人と会うことへの恐怖感であったり、少しの出来事で異常なほど驚いてしまったり。何度も手を洗ってしまうといった強迫観念を感じる方もいます。
こうした精神的な症状のほか、めまいや頭痛、異常に脈が速くなる頻脈や震え、発汗や頻尿・下痢といった肉体的な症状が現れることもあります。
原因はストレスが大半だといわれていますが、明確に「これだ」とはわかっていません。
精神不安に効果を持つ漢方薬5種
精神不安の際に効果を発揮する漢方薬をご紹介します。
療方調律(りょうほうちょうりつ)
比較的体力があまりない人に向いている漢方薬です。「産婦人科の三大漢方薬」と呼ばれているもので、女性特有の症状によく用いられています。
不安のほか、イライラやのぼせ・発汗・頭痛といった、「不定愁訴」と呼ばれる心身の不調に幅広く作用する漢方薬です。
名前の「逍遥」とは「ぶらぶら歩く」こと。加味逍遙散という名前は、ぶらぶら歩くように移り変わる症状に効果があるため、つけられた名前です。
副作用:胃腸が特に弱い人の場合、食欲不振や下痢といった消化器症状が現れるケースがあります。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力が中程度ある人に適している漢方薬です。「ふさがった気分を開く薬」と呼ばれ、「気」を改善する「気剤」として古くから用いられています。
不安神経症のほか、自律神経失調症の人に多く処方されている薬です。肉体的な症状としては、「のどの異物感」や動悸・息苦しさ・めまい・肩こり・食欲不振・吐き気や咳など。
精神的な不安が募った際に起こる胃腸の不振にも効果がみられる漢方薬です。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
比較的体力がある人に適している漢方薬です。神経質で、ささいなことが気になって仕方がない人に処方されています。
肉体的な症状としては、過度な物忘れ・動悸・息切れ・めまい・倦怠感・貧血・不眠などがみられる場合に効果があるとされています。
含まれている生薬のうち、「竜骨」や「牡蛎」に不安やイライラを鎮める効果があります。
副作用:まれに間質性肺炎や肝機能障害、黄疸を引き起こすことがあります。生薬に「大黄」を含むタイプのものの場合は、下痢にも注意が必要です。
加味帰脾湯(かみきひとう)
虚弱体質で血色が悪い人に適しています。精神不安のほか、貧血や不眠を抱えている人にも有効です。「帰脾湯」という漢方薬に、「柴胡(さいこ)」と「山梔子(さんしし)」が加えられたものです。
その他、肉体的な症状として、寝汗や微熱、熱感がある場合に適しているとされています。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
比較的体力がある人に適しています。精神不安のなかでも、特にイライラしてしまう傾向がある人に向いている漢方薬です。
ストレスによる動悸や胃炎に対して効果があるとされ、イライラによる皮膚のかゆみの改善にも用いられています。
副作用:体力がない人が服用すると、下痢が起こりやすくなります。また、まれに間質性肺炎や肝機能障害、黄疸が起こる可能性があるため、注意が必要です。
諸症状や体力を判断して漢方薬を選びましょう
西洋医学の薬と比較すると、副作用が少ないといわれる漢方薬。しかし、あくまでも漢方薬も薬です。体質によって、適不適があり、場合によっては副作用が出てしまうことも。
漢方薬を服用する際は、自分が抱えているほかの症状のほか、体力の程度によって、適切なものを選ぶことが大切です。
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